デストロンの真実の姿とは・・・・・・!?(読者投稿論文:デストロン統治の実態に関する一考察)

本日の紹介品は、読者投稿のものです。
当ブログの閲覧者TOROさんから、私の方に今回紹介する論文
「デストロン統治の実態に関する一考察―さる歴史家の覚え書きから―」
が届きました。
ご本人いわく、ご自身のストレス解消で作ったものとのことですが、すでに多くのマルチバースを有しているTF世界観。
今回の論文は、アニメ・おもちゃ・アメコミほかのいろいろな世界観を入れ込みながらのものだそうです。
このような論文を自由に考えて出せるのも、ファンの楽しみ方の一つですし、そこから想像力を広げると、また新しい楽しみ方も見いだせるのかなぁと思います。
ちなみに、BOTCON出自の、とある学者さんの論文となっていますね。
しかし、今回のような文章系記事の投稿、反響があれば投稿文章系のイベントでもしてみようかしらん=w=;
ともあれ、TFファンの方からのご投稿です。
楽しんでみてくださいませ・w・ノ
(ご本人に、ブログ記事化の許可をいただいております)
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(デストロン・データディスク)
はじめに
900万ステラサイクルの永きに渡るグレートウォー(以下大戦争)も、終戦を迎え、数百ステラサイクルが経とうとしている。我々「トランスフォーマー」(以下TF)と称される、セイバートロン由来の生命体は、かつての同盟者であった地球人をはじめとする他の種族と比べて、極めて長寿である。我々にとって、終戦から現代までの期間は、瞬きする間に過ぎないであろう。しかし、戦後施行された「マクシマル・アップグレード」により誕生した新世代にとって、大戦争は「記録上の過去の出来事」として認識する者は少なくない。言うなれば「戦争を知らない若者」達が増えて来ている。
その要因の1つに、現在では大戦争に携った世代は、オールスパークの元に還るか、または栄誉あるシリコンバルハラの英霊として召されるか、もしくは戦時中の体験に対して、固く口を閉ざす者が増えて来ていることが挙げられる。
戦時中の体験に口を閉ざす者には、幾つかに分類出来るだろう。
(1)最高議会をはじめとする要職に就き、現在でもその言動には慎重さを求められる階層。
(2)サイバトロン・デストロンを問わず、その体験を忌み嫌い隠遁生活を送る者。
(3)戦犯指定を受けて行方を晦ます者。
この傾向は特に元デストロン軍に多く、彼らの中には特赦を与えられたにも関わらず、現在はアップグレードを受けて密かに「活動」を続けている者もいると言われる。
このように、戦争を知る世代は少しずつ減り、我々はこの戦争をどのように生き抜き、現在に至ったかの過程とその記録が、ゆっくりとしかし確実に失われつつある。特に、その武力と奸智により、かつて銀河に覇を唱えたデストロン側の記録は、敗者であるが故に、現サイバトロン政権(オートボット・マクシマル連合)が推し進めていた史書編纂の名の下、巧みな改竄・廃棄の傾向が見られる。
このことは勝者による驕りであると共に、戦いで散っていた同胞達、そして今後産まれるだろう未来の世代への裏切りに他ならない。
本論では、「デストロン」とは何であったのか、そして彼らの後継者達がどのような道を選んで行くのか、この問題を考察するため、彼らがどのような統治体制を敷いていたのかを検証する。本論に出て来る年号は、私個人の感傷から、かつての同盟星地球の年号を使用する。また、資料内の復元出来なかった部分は、欠字として「□」に置き換えていることをご了承願いたい。
(デストロン・多次元間の破壊大帝)
第1節 デストロン統治の分類
デストロンの統治と言えば、一般にはどのような印象を持つだろうか?主に挙げられるのは破壊、そして尽きることのない貪欲による搾取であろうか。しかし、この軍団には「欺瞞の民」の二つ名を持つことを忘れてはならない。組織の最高権力者たる「破壊」大帝の称号からして、創設者メガトロンの複雑な性格を考えると、本来は何らかの意図が隠されていると想像出来る。メガトロンは側近に対しては「圧政による平和」についての展望を、話していたと言われる。では、「平和」をもたらすには、どのような統治を行っていたのか。現在知見の限りでは、以下のように分類されるだろう。
(1)闇社会の掌握:
宇宙有数の歓楽街として知られた惑星モナカスでは、当地闇社会の有力者であったボッシュが、ラムジェット達から脅迫を受けている事例がある。彼らの会話によると、ボッシュはエネルギーをメガトロンへ供給する役割を担っていた。そして、その収益の一部を上納することで、恐らくはボッシュはモナカス暗黒街の権力者として君臨していたことが想定出来る。
(2)親デストロン政権の樹立:
①惑星トララカンの支配:この惑星では、高機能ロボットであるデスタトランによる支配と、住民達からの生体エネルギーの搾取が行われていた。トララカン人の話では、本来デスタトランは彼ら自身が造ったロボットであった可能性が高い。しかし、不測の事態によりデスタトランによる反乱が起き、その隙を付け込まれ、デストロンの介入を受けることになり、デスタトランによる惑星制圧が行われたと考えられる。デストロンはデスタトランを「協力者」として、トララカン人の反乱の際には軍事援助を行っていたが、その見返りとして、生体エネルギーから製造したエネルゴンキューブを要求していたと考えられる。
②衛星タイタンへの侵略:太陽系に位置する土星の衛星であるこの地では、巨人崇拝による神聖政治が行われ、住民は疲弊を極めていた。かつてデストロンのアストロトレイン達がこの地に不時着した際、その巨体を利用し住民達を奴隷とした。そして、エネルギーの結晶体を武器にやはり不時着したサイバトロン軍を窮地に追いやった。最終的に副官マイスターの手により、アストロトレインの支配は崩壊し、住民達は神聖政治から解放されたかに思えた。しかし、同地住民の巨人信仰は根強く、不幸なことに再度デストロンの介入によって、その支配下に置かれたらしい。そして、デストロンコマンダー・メトロタイタンのボディが製造される等、軍事拠点となった。
(3)デストロンによる直轄統治:
地球暦2010年に、当時のデストロン航空参謀サイクロナス達が、惑星パラドランに不時着した。この惑星は第四次セイバートロン争乱の際に母性を脱出した民間人により開かれた、植民地であった。かの地は資源豊かな平和な理想郷であったが、外敵からの防衛設備を持たなかったため、瞬く間にデストロンに制圧された。その結果、パラドランはデストロンの兵器製造工場、ならびにエネルギー供給基地にされた上、現地住民は強制徴収と労働を課せられた。
また、この他にも「軍事執政官」と呼ばれる総督職を置き、直轄統治を行っていたことが知られるが、執政官統治については次節に取り上げたい。
私はデストロンによる統治を、上述した3つの方式に分類した。そして、これらの方式は、以下のようにも分類出来る。
(4)「多種族社会」への対応:
(1)の方式が適用された惑星モナカスは、宇宙中から様々な種類の生命体が集まる場所である。このような「多種族社会」は、直轄統治を敷くには、あまりに複雑であったため、暗黒街掌握による間接的な掌握と利益を回収するに満足した。
(5)「非多種族社会」への対応:
(2)(3)の方式には、(1)の場合とは異なり生命体分布が複雑でなかったこと、挙げられるが、以下の違いが見られる。
[(2)①]の、トララカン星の方式は、直轄領として編成することも可能ではあったが、恐らくは中央との連絡が難しい遠距離であったことに加え、現地住民による反乱も続発していた。そして、資源事態も強権支配敷く程のメリットはなかったと思われる。そのため、親デストロン政権を樹立し、保護を与えるに止まった。
[(2)②]及び(4)では、現地の慣習(宗教・住民の性質等)を利用したこと。また、防衛設備が脆弱で、統治後に反乱が起きた場合も、その抵抗が弱いと予測された地域。加えて、資源も豊富で軍事拠点としても有用な惑星に対して、強権統治が行われた。
当節では、デストロン統治方式の分類を行った。次節では、この中でも最も重要と思われる、デストロン直轄統治の実態を考察したい。
(マグニフィカス&ガミード)
第2節 メビオンにおけるデストロン統治
本節では、デストロン直轄領の統治を、惑星メビオンに関する資料から見て行きたい。
惑星メビオンは、サイバトロン・デストロンの両軍主力が地球に旅立った後に起きた第四次セイバートロン争乱時に、母星を脱出した難民達により開拓された植民地である。彼らは母星の地名にちなんで、その地をメビオンと名付けた。指導者は旧セイバートロン元老院上院議員の血統が総督を世襲していた。
この惑星はパラドロンと同様に辺境に位置していたため、民衆は平和を享受していたが、地球暦1985年のメガトロン復活以後の戦線拡大により、デストロン軍に発見されてしまった。そして、デストロンの軍事侵攻により制圧され、直轄領として組み込まれた。以下、その地を支配したデストロンをはじめとする、関係者の証言を紹介する。
『デストロンにより惑星メビオンが侵攻された。俺はメガトロンの許可を得る前に、封鎖が続いている現地に入った。侵攻から1週間が経ったが、小規模な戦闘があっただけで、大きな混乱は見られない。どうやら、惑星内部からの手引きがあったらしく、現地政府もすみやかに降伏を行ったようだ。現在情報が錯綜しているが、総督一族に対する不満がくすぶっていたらしい。』
(ルーク著『我が生涯』、第三章「金色の眠りから覚めて」)
両軍指導者から敬意を受けていたジャーナリストとして、またミスリル海の戦いにおける調停者としても悪名高いルークは、侵攻間もないメビオンに一早く入り、その実情を見た。彼はメビオン政府の速やかな降伏を、政権内部の闘争が原因と見ている。では、この当時メビオンで何が起きていたのか。
当地の軍事執政官に就任したマグニフィカスの記録を見てみると、
『この惑星の政府は、かのサイバトロン流統治を見事に体現している。すなわち、惰弱・堕落・怠惰という悪徳だ。長きに渡る総督統治は、メビオンを熟し過ぎて腐臭を放つ果実同様にした。総督一族の祖先である上院議員は、保身のためにデストロンに出馬地域を売り渡した。その子孫であればこの為体もうなずけよう。防衛設備のための予算は、総督一族とその追従者達の遊楽に使われ、有用な資源も人材も眠ったままだ。このような非効率的な政治は、我がデストロンの鉄の支配で締め上げなくてはならない。デストロンの平和を銀河に敷くための第一歩として、このメビオンは魁となろう。』
(サイバトロポリス公文書館所蔵:「旧アイアコン機密文書、デストロン植民統治」)
数世代の世襲を経て、総督一族は堕落し、その特権を利用した不正や汚職、住民を強制徴収した剣闘試合等、セイバートロン「黄金時代」末期の悪徳を再現していた。
この記録の中で興味深いのは、総督一族の祖先である上院議員がメガトロンに自身の担当地域を売り渡していたとの証言である。この証明は今となっては難しいが、同じ上院議員であったラットバットが、最初期のメガトロンを援助していたことを考えると、あり得ないことではないだろう。
では、マグニフィカスはどのような統治を敷いたのであろうか。
『マグニフィカスは軍事執政官として、その責務を十二分に発揮したと言えよう。
現在母星セイバートロンは、エネルゴンをはじめ主要資源が枯渇しつつある。地球にいるメガトロン達は、以前セイバートロニウムが老朽化し瀕死の状態に陥ったが、母星も似た状態である。主要鉱物も底が見え、惑星自体の維持も危うくなっている。
メビオンは上質なエネルゴンワインの産地として知られるが、エネルギー量は搾取する程ない。しかし、地下に眠る鉱物資源はメガトロンを驚愕させるに充分であった。マグニフィカスはデストロンに相応しいやり方で、総督一派の粛清を行った後、現地有力者を懐柔するために形ばかりの評議会を設置した。また、士官学校を作りデストロン支持層を作り上げた。その上で資源、そして兵器開発の制度を整え、惑星の要塞化に成功した。そして、士官学校出の現地人を利用し、相互を監視させる。その範囲はエネルゴンバーで交わされる会話にまで及び、我々秘密警察も顔負けの辣腕ぶりだ。
短期間でここまで作り上げた行政手腕は、目を見張るものがある。奴が望めばメビオン及び周辺の星系を支配することが出来たはずだ。しかし、残念ながら奴は自身の地位と力に慢心し過ぎたため、同輩達からの妬みを招いた。マグニフィカスのような優秀な者でさえ、デストロンは自惚れやすいという例に当てはまるとは驚きだ。結果、奴は剣闘奴隷にまで落とされてしまった。マグニフィカスを追い落した□□□□□□□は、デストロン中央でより高い地位を得よう。全ての陰謀を監視し、奸智に長けた兵士を推挙することが私ガ-ボイルの職務だからだ。』
(サイバトロポリス公文書館所蔵:「旧アイアコン機密文書、デストロン秘密警察」)
マグニフィカスは、セイバートロンとデストロンに資源に供給するため、メビオンの行政機構を整備していた。 ここでは、デストロンへの一般的なイメージとは異なり、(形だけの翼賛機関ではあるが)評議会を設置し、現地住民の支持を得ようとしたことが分かる。その資源は人的方面にまで及び、デストロン官僚制度の一角を担っていたことがうかがえる(官僚制度に関しては別稿にて検討したい)。しかし、一方で監視制度も作られ、近隣住民による相互監視制度と共に、エネルゴンバーを拠点にした住民監視体制も設立した。これは、エネルゴンバー(エネルゴン供給・販売施設)の店長に、利益確保(近隣に競合する店を出させない、その地域における生活必需品の独占販売の認可)の見返りに、近隣住民の会話の録音と不審者の通報義務を負わせた。軍事執政官の権限が垣間見える。
なお、この記録を残したガ-ボイルは、デストロン秘密警察の公安部隊「コバルトセントリー」の情報統制官であり、デストロン支配下の領地と兵士を監視する役目を担っている。そして、コバルトセントリーの役目は、支配地域の監視以外に、反乱が起きた場合の鎮圧も含まれていた。
「藍衣の部隊」として恐れられた彼らは、マグニフィカス更迭後に起きたメビオン暴動以後、この地の監視を厳重にし、直接管理を行っていた。
『メビオンの住民達はマグニフィカスにより甘やかされていた。植民惑星の現地人共は、私達に仕え、生かされていることを感謝するべきなのに、デストロンに反逆の意志を示した。暴動の後、私ハウルバックは強制執行官を兼任しながら軍事執政官として、この地の引き締めを行っている。最近は奇妙な事件が起きている。レジスタンスに潜入した捜査官が、立て続けに不審死を遂げている。彼らには共通して咽喉の部分に極めて小さい傷痕があることから、検視を担当した軍医のグリットは、そこから神経毒を流し込んだのではないかと言っている。この銀河には、地球に住む矮小な有機生命体よりも、遥かに小さな生命体が存在するとの情報がある。その生命体は高度な技術により星間連邦国家群を作りあげたが、我々同様内戦が発生し、その一派は地球でも戦いを繰り返していると噂される。
現段階では、デストロンとは利害関係は発生しておらず、当生命体が不審死に関与しているとは考えにくい。やはりレジスタンスの仕業か?潜入捜査官の他にも、暴動時に我らに通じていた現地人を使い、レジスタンスの監視は続けておこう。
この件が片付けば、セイバートロンでのターボフォックス狩りを楽しむことにしたい。』
(サイバトロポリス公文書館所蔵:「旧アイアコン機密文書、デストロン秘密警察」)
公安部隊は治安維持を目的に領域を問わず派遣され、時には軍事執政官を兼任する程の権限を持っていた。反抗的な領地に対しては手段を選ばず鎮圧・処刑を行っていた。メビオン暴動の際には実験も兼ねて、地球暦2003年に存在が確認されている、新型コズミックルストを使用したと言われる。そして、暴徒側の敗北が、武装の差だけでなく内部からの裏切りであると明らかとなった。
この記録で言及された極小生命体とは、現在では「ミクロマン」と呼ばれる、ミクロアース星間連合国家群に由来する生命体と判明している。彼らは我々同様に二派に分かれ内線を繰り広げ、その戦火は地球にも拡大していた。
現代ではこの不審死事件が、剣奴競技場から脱出したマグニフィカスと、ミクロアースの王族の一員で、そのパートナーであるガミードが犯人であることが判明している。彼らは自身を陥れた裏切り者に復讐するために、銀河各地を流浪し傭兵として活躍する一方、デストロン植民地でのレジスタンス活動に援助を行っていた。
(初代破壊大帝 メガトロン)
おわりに
本論では、デストロンが銀河において、どのような統治体制を敷こうとしていたのかを、植民地支配から検討して来た。
第1節では、デストロンの基本的な統治方式を見て来た。その方式は、大まかに (1)闇社会の掌握、(2)親デストロン政権の樹立、 (3) デストロンによる直轄統治、3つに分類が出来る。また、上記3方式が採られる環境には、(4)「多種族社会」への対応、 (5)「非多種族社会」への対応という、2点に分けられる。
(1)の方式が採られる場合は、(4)の場合、すなわちモナカスの様に複雑な「多種族社会」に干渉、または支配する際、時間とコストがかかることが想定される地域に対して適応された。(2)(3)は(5)の場合に適応されることが多い。(2)が採用される場合は、資源は比較的豊富であるが、反乱が頻発して起きる遠方の惑星であり、直轄領にする程のメリットが少ない場合に採用された。そして、本論のメインとなる(3)の方式は、資源の埋蔵量が豊富で、軍事的拠点としても重視される場合である。
第2節では、(3)の方式を検討する上で、惑星メビオンの統治を取り上げた。
デストロン地方統治の責任者にあたる「軍事執政官」は、その役職名が示す様に文武の最高責任者であり、強大な権限を持っていた。例えば、デストロン支持層確立のために、翼賛機関としての評議会、教育機関の設置による、住民の懐柔。その一方で近隣住民同士を相互に監視させる制度、またエネルゴンバーを拠点とした会話・供給資源の管理等、徹底した管理社会を作り上げようとした。また、反乱・暴動が起きた際には容赦ない血の粛清と硬柔合わせた政策が行われ、その権限を握っていたのが軍事執政官であった。
しかし、本論でも取り上げたデストロン秘密警察の記録から推察すると、軍事執政官は公安機関の監視下に置かれており、その政策もメガトロンの意によるところが大きかったと考えられる。
デストロン軍団は、創設者であるメガトロンとその兵士達が体現するように、「破壊」の軍団であり、サイバトロンは永きに渡り彼らと戦って来た。しかし、第1節でも言及したように、メガトロンの性格は複雑であり、その真意は一部の側近間でしか理解していなかった。彼は大戦争が起きる前までは、社会改革の闘士として世間の注目を浴びた。その裏で分裂傾向にあった軍事担当種族「デストロン」を強大な軍団として再編成していた。彼が軍団を欲した理由は、セイバートロンの覇権を手にするためであったことは疑いの余地はない。
では、何のための覇権だったのか?卑賤の出身から出て来たメガトロンは、世の辛酸を知り尽くしていた。一方で議員を中心とした上層階級では絶え間ない奢侈と腐敗が蔓延し、その格差は拡大していたが、有効な対策は打たれないままであった。この状況を解体するための手段として大戦争「グレートウォー」を起こした。彼が望んだ社会は、資源の分配が平等に管理された社会であった。しかし、その「平等」とは、日常生活の細部に渡り綿密に管理された社会において、実現されるものであった。しかし、その「平等」はやがて閉塞に追い込まれる。メガトロンはそれを予測し、敢えて「破壊」という、相反する概念を持ち込み、閉塞に陥った社会を「再生産」するための手段とした。私はこの手段の善悪は問わない。しかし、メガトロンの後継者達(彼と同一人物であるガルバトロンも含む)は、その考えまでは継承せず、デストロンという集団を、文字通り破壊と報復のための手段としてしか認識していなかった。その最大の悲劇は、地球暦2011年のセイバートロン爆破と言える。明確なビジョンを欠いた「破壊」は、全てを灰燼に帰すまで止まることはない。ガルバトロンの銀河各地への無差別攻撃、メガザラックの暗い怨念等は、そのことを示している。
永き大戦争が終わり、平和の時代を迎えたはずの我々の種族は、トランスワープ技術の発展により、時空を超えた領域拡張を迎える中、新たな試練に襲われている。
かつての大戦争は、銀河中の至る所にその爪痕を今なお残している。そのため、我々を「破壊を招く災厄」として唾棄する者達も数多く、異種族間の衝突が頻発して起きている。この事態は領域が拡張している現在、切実な問題となり、宇宙平和連合はこうした状況を憂慮している。戦争を起こした者を問わず、サイバトロン・デストロンは一体の存在であることを再度意識しなければならない。
このことに加えて、我々の種族全体が滅亡の危機に瀕していた。「メガトロン」を僭称する狂人と、その配下のビーコン軍団による母星制圧である。「メガトロン」は、セイバートロンに自らを接続し、全住民のスパークを抜き取った。我々はこの暴挙を阻止すべく、ある者は母星に残り、またある者は当所のない旅に出た。私グリフは久しく母星を離れ、途中から旅路に加わった者であるが、同行者であったサイクロナスの背信、久しく活動を聞かなかったクインテッサ星人の陰謀をはじめ、様々な困難により、その旅も暗礁に乗り上げかけた。これらの試練を乗り越えた後、セイバートロンは無機・有機体が融合した新たな世界に生まれ変わった。
異種族との交流と新たなセイバートロンの構築。これらの課題に対して、過去の資料を発掘・記録し、我々の向かうべき未来を分析しなければならない。
(英雄・オプティマスプライマルの姿の一つ)
「メガトロン」の狂気に抗った英雄は言う、「未来の種は過去の中に埋まっている」と。
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ご感想は、コメントの方にどうぞ!!
(なお、投稿者はアニメ・アメコミ・おもちゃなどの世界観からいろいろ取り混ぜたといっておりますので、そのような空想の産物としてご理解の上コメントをどうぞ。
「このアメコミと違う」「アニメと違う」とかいう空気を読まないコメントなどは勘弁してくださいね。
ここはディベートの場ではないので。)

(デストロン・データディスク)
はじめに
900万ステラサイクルの永きに渡るグレートウォー(以下大戦争)も、終戦を迎え、数百ステラサイクルが経とうとしている。我々「トランスフォーマー」(以下TF)と称される、セイバートロン由来の生命体は、かつての同盟者であった地球人をはじめとする他の種族と比べて、極めて長寿である。我々にとって、終戦から現代までの期間は、瞬きする間に過ぎないであろう。しかし、戦後施行された「マクシマル・アップグレード」により誕生した新世代にとって、大戦争は「記録上の過去の出来事」として認識する者は少なくない。言うなれば「戦争を知らない若者」達が増えて来ている。
その要因の1つに、現在では大戦争に携った世代は、オールスパークの元に還るか、または栄誉あるシリコンバルハラの英霊として召されるか、もしくは戦時中の体験に対して、固く口を閉ざす者が増えて来ていることが挙げられる。
戦時中の体験に口を閉ざす者には、幾つかに分類出来るだろう。
(1)最高議会をはじめとする要職に就き、現在でもその言動には慎重さを求められる階層。
(2)サイバトロン・デストロンを問わず、その体験を忌み嫌い隠遁生活を送る者。
(3)戦犯指定を受けて行方を晦ます者。
この傾向は特に元デストロン軍に多く、彼らの中には特赦を与えられたにも関わらず、現在はアップグレードを受けて密かに「活動」を続けている者もいると言われる。
このように、戦争を知る世代は少しずつ減り、我々はこの戦争をどのように生き抜き、現在に至ったかの過程とその記録が、ゆっくりとしかし確実に失われつつある。特に、その武力と奸智により、かつて銀河に覇を唱えたデストロン側の記録は、敗者であるが故に、現サイバトロン政権(オートボット・マクシマル連合)が推し進めていた史書編纂の名の下、巧みな改竄・廃棄の傾向が見られる。
このことは勝者による驕りであると共に、戦いで散っていた同胞達、そして今後産まれるだろう未来の世代への裏切りに他ならない。
本論では、「デストロン」とは何であったのか、そして彼らの後継者達がどのような道を選んで行くのか、この問題を考察するため、彼らがどのような統治体制を敷いていたのかを検証する。本論に出て来る年号は、私個人の感傷から、かつての同盟星地球の年号を使用する。また、資料内の復元出来なかった部分は、欠字として「□」に置き換えていることをご了承願いたい。

(デストロン・多次元間の破壊大帝)
第1節 デストロン統治の分類
デストロンの統治と言えば、一般にはどのような印象を持つだろうか?主に挙げられるのは破壊、そして尽きることのない貪欲による搾取であろうか。しかし、この軍団には「欺瞞の民」の二つ名を持つことを忘れてはならない。組織の最高権力者たる「破壊」大帝の称号からして、創設者メガトロンの複雑な性格を考えると、本来は何らかの意図が隠されていると想像出来る。メガトロンは側近に対しては「圧政による平和」についての展望を、話していたと言われる。では、「平和」をもたらすには、どのような統治を行っていたのか。現在知見の限りでは、以下のように分類されるだろう。
(1)闇社会の掌握:
宇宙有数の歓楽街として知られた惑星モナカスでは、当地闇社会の有力者であったボッシュが、ラムジェット達から脅迫を受けている事例がある。彼らの会話によると、ボッシュはエネルギーをメガトロンへ供給する役割を担っていた。そして、その収益の一部を上納することで、恐らくはボッシュはモナカス暗黒街の権力者として君臨していたことが想定出来る。
(2)親デストロン政権の樹立:
①惑星トララカンの支配:この惑星では、高機能ロボットであるデスタトランによる支配と、住民達からの生体エネルギーの搾取が行われていた。トララカン人の話では、本来デスタトランは彼ら自身が造ったロボットであった可能性が高い。しかし、不測の事態によりデスタトランによる反乱が起き、その隙を付け込まれ、デストロンの介入を受けることになり、デスタトランによる惑星制圧が行われたと考えられる。デストロンはデスタトランを「協力者」として、トララカン人の反乱の際には軍事援助を行っていたが、その見返りとして、生体エネルギーから製造したエネルゴンキューブを要求していたと考えられる。
②衛星タイタンへの侵略:太陽系に位置する土星の衛星であるこの地では、巨人崇拝による神聖政治が行われ、住民は疲弊を極めていた。かつてデストロンのアストロトレイン達がこの地に不時着した際、その巨体を利用し住民達を奴隷とした。そして、エネルギーの結晶体を武器にやはり不時着したサイバトロン軍を窮地に追いやった。最終的に副官マイスターの手により、アストロトレインの支配は崩壊し、住民達は神聖政治から解放されたかに思えた。しかし、同地住民の巨人信仰は根強く、不幸なことに再度デストロンの介入によって、その支配下に置かれたらしい。そして、デストロンコマンダー・メトロタイタンのボディが製造される等、軍事拠点となった。
(3)デストロンによる直轄統治:
地球暦2010年に、当時のデストロン航空参謀サイクロナス達が、惑星パラドランに不時着した。この惑星は第四次セイバートロン争乱の際に母性を脱出した民間人により開かれた、植民地であった。かの地は資源豊かな平和な理想郷であったが、外敵からの防衛設備を持たなかったため、瞬く間にデストロンに制圧された。その結果、パラドランはデストロンの兵器製造工場、ならびにエネルギー供給基地にされた上、現地住民は強制徴収と労働を課せられた。
また、この他にも「軍事執政官」と呼ばれる総督職を置き、直轄統治を行っていたことが知られるが、執政官統治については次節に取り上げたい。
私はデストロンによる統治を、上述した3つの方式に分類した。そして、これらの方式は、以下のようにも分類出来る。
(4)「多種族社会」への対応:
(1)の方式が適用された惑星モナカスは、宇宙中から様々な種類の生命体が集まる場所である。このような「多種族社会」は、直轄統治を敷くには、あまりに複雑であったため、暗黒街掌握による間接的な掌握と利益を回収するに満足した。
(5)「非多種族社会」への対応:
(2)(3)の方式には、(1)の場合とは異なり生命体分布が複雑でなかったこと、挙げられるが、以下の違いが見られる。
[(2)①]の、トララカン星の方式は、直轄領として編成することも可能ではあったが、恐らくは中央との連絡が難しい遠距離であったことに加え、現地住民による反乱も続発していた。そして、資源事態も強権支配敷く程のメリットはなかったと思われる。そのため、親デストロン政権を樹立し、保護を与えるに止まった。
[(2)②]及び(4)では、現地の慣習(宗教・住民の性質等)を利用したこと。また、防衛設備が脆弱で、統治後に反乱が起きた場合も、その抵抗が弱いと予測された地域。加えて、資源も豊富で軍事拠点としても有用な惑星に対して、強権統治が行われた。
当節では、デストロン統治方式の分類を行った。次節では、この中でも最も重要と思われる、デストロン直轄統治の実態を考察したい。

(マグニフィカス&ガミード)
第2節 メビオンにおけるデストロン統治
本節では、デストロン直轄領の統治を、惑星メビオンに関する資料から見て行きたい。
惑星メビオンは、サイバトロン・デストロンの両軍主力が地球に旅立った後に起きた第四次セイバートロン争乱時に、母星を脱出した難民達により開拓された植民地である。彼らは母星の地名にちなんで、その地をメビオンと名付けた。指導者は旧セイバートロン元老院上院議員の血統が総督を世襲していた。
この惑星はパラドロンと同様に辺境に位置していたため、民衆は平和を享受していたが、地球暦1985年のメガトロン復活以後の戦線拡大により、デストロン軍に発見されてしまった。そして、デストロンの軍事侵攻により制圧され、直轄領として組み込まれた。以下、その地を支配したデストロンをはじめとする、関係者の証言を紹介する。
『デストロンにより惑星メビオンが侵攻された。俺はメガトロンの許可を得る前に、封鎖が続いている現地に入った。侵攻から1週間が経ったが、小規模な戦闘があっただけで、大きな混乱は見られない。どうやら、惑星内部からの手引きがあったらしく、現地政府もすみやかに降伏を行ったようだ。現在情報が錯綜しているが、総督一族に対する不満がくすぶっていたらしい。』
(ルーク著『我が生涯』、第三章「金色の眠りから覚めて」)
両軍指導者から敬意を受けていたジャーナリストとして、またミスリル海の戦いにおける調停者としても悪名高いルークは、侵攻間もないメビオンに一早く入り、その実情を見た。彼はメビオン政府の速やかな降伏を、政権内部の闘争が原因と見ている。では、この当時メビオンで何が起きていたのか。
当地の軍事執政官に就任したマグニフィカスの記録を見てみると、
『この惑星の政府は、かのサイバトロン流統治を見事に体現している。すなわち、惰弱・堕落・怠惰という悪徳だ。長きに渡る総督統治は、メビオンを熟し過ぎて腐臭を放つ果実同様にした。総督一族の祖先である上院議員は、保身のためにデストロンに出馬地域を売り渡した。その子孫であればこの為体もうなずけよう。防衛設備のための予算は、総督一族とその追従者達の遊楽に使われ、有用な資源も人材も眠ったままだ。このような非効率的な政治は、我がデストロンの鉄の支配で締め上げなくてはならない。デストロンの平和を銀河に敷くための第一歩として、このメビオンは魁となろう。』
(サイバトロポリス公文書館所蔵:「旧アイアコン機密文書、デストロン植民統治」)
数世代の世襲を経て、総督一族は堕落し、その特権を利用した不正や汚職、住民を強制徴収した剣闘試合等、セイバートロン「黄金時代」末期の悪徳を再現していた。
この記録の中で興味深いのは、総督一族の祖先である上院議員がメガトロンに自身の担当地域を売り渡していたとの証言である。この証明は今となっては難しいが、同じ上院議員であったラットバットが、最初期のメガトロンを援助していたことを考えると、あり得ないことではないだろう。
では、マグニフィカスはどのような統治を敷いたのであろうか。
『マグニフィカスは軍事執政官として、その責務を十二分に発揮したと言えよう。
現在母星セイバートロンは、エネルゴンをはじめ主要資源が枯渇しつつある。地球にいるメガトロン達は、以前セイバートロニウムが老朽化し瀕死の状態に陥ったが、母星も似た状態である。主要鉱物も底が見え、惑星自体の維持も危うくなっている。
メビオンは上質なエネルゴンワインの産地として知られるが、エネルギー量は搾取する程ない。しかし、地下に眠る鉱物資源はメガトロンを驚愕させるに充分であった。マグニフィカスはデストロンに相応しいやり方で、総督一派の粛清を行った後、現地有力者を懐柔するために形ばかりの評議会を設置した。また、士官学校を作りデストロン支持層を作り上げた。その上で資源、そして兵器開発の制度を整え、惑星の要塞化に成功した。そして、士官学校出の現地人を利用し、相互を監視させる。その範囲はエネルゴンバーで交わされる会話にまで及び、我々秘密警察も顔負けの辣腕ぶりだ。
短期間でここまで作り上げた行政手腕は、目を見張るものがある。奴が望めばメビオン及び周辺の星系を支配することが出来たはずだ。しかし、残念ながら奴は自身の地位と力に慢心し過ぎたため、同輩達からの妬みを招いた。マグニフィカスのような優秀な者でさえ、デストロンは自惚れやすいという例に当てはまるとは驚きだ。結果、奴は剣闘奴隷にまで落とされてしまった。マグニフィカスを追い落した□□□□□□□は、デストロン中央でより高い地位を得よう。全ての陰謀を監視し、奸智に長けた兵士を推挙することが私ガ-ボイルの職務だからだ。』
(サイバトロポリス公文書館所蔵:「旧アイアコン機密文書、デストロン秘密警察」)
マグニフィカスは、セイバートロンとデストロンに資源に供給するため、メビオンの行政機構を整備していた。 ここでは、デストロンへの一般的なイメージとは異なり、(形だけの翼賛機関ではあるが)評議会を設置し、現地住民の支持を得ようとしたことが分かる。その資源は人的方面にまで及び、デストロン官僚制度の一角を担っていたことがうかがえる(官僚制度に関しては別稿にて検討したい)。しかし、一方で監視制度も作られ、近隣住民による相互監視制度と共に、エネルゴンバーを拠点にした住民監視体制も設立した。これは、エネルゴンバー(エネルゴン供給・販売施設)の店長に、利益確保(近隣に競合する店を出させない、その地域における生活必需品の独占販売の認可)の見返りに、近隣住民の会話の録音と不審者の通報義務を負わせた。軍事執政官の権限が垣間見える。
なお、この記録を残したガ-ボイルは、デストロン秘密警察の公安部隊「コバルトセントリー」の情報統制官であり、デストロン支配下の領地と兵士を監視する役目を担っている。そして、コバルトセントリーの役目は、支配地域の監視以外に、反乱が起きた場合の鎮圧も含まれていた。
「藍衣の部隊」として恐れられた彼らは、マグニフィカス更迭後に起きたメビオン暴動以後、この地の監視を厳重にし、直接管理を行っていた。
『メビオンの住民達はマグニフィカスにより甘やかされていた。植民惑星の現地人共は、私達に仕え、生かされていることを感謝するべきなのに、デストロンに反逆の意志を示した。暴動の後、私ハウルバックは強制執行官を兼任しながら軍事執政官として、この地の引き締めを行っている。最近は奇妙な事件が起きている。レジスタンスに潜入した捜査官が、立て続けに不審死を遂げている。彼らには共通して咽喉の部分に極めて小さい傷痕があることから、検視を担当した軍医のグリットは、そこから神経毒を流し込んだのではないかと言っている。この銀河には、地球に住む矮小な有機生命体よりも、遥かに小さな生命体が存在するとの情報がある。その生命体は高度な技術により星間連邦国家群を作りあげたが、我々同様内戦が発生し、その一派は地球でも戦いを繰り返していると噂される。
現段階では、デストロンとは利害関係は発生しておらず、当生命体が不審死に関与しているとは考えにくい。やはりレジスタンスの仕業か?潜入捜査官の他にも、暴動時に我らに通じていた現地人を使い、レジスタンスの監視は続けておこう。
この件が片付けば、セイバートロンでのターボフォックス狩りを楽しむことにしたい。』
(サイバトロポリス公文書館所蔵:「旧アイアコン機密文書、デストロン秘密警察」)
公安部隊は治安維持を目的に領域を問わず派遣され、時には軍事執政官を兼任する程の権限を持っていた。反抗的な領地に対しては手段を選ばず鎮圧・処刑を行っていた。メビオン暴動の際には実験も兼ねて、地球暦2003年に存在が確認されている、新型コズミックルストを使用したと言われる。そして、暴徒側の敗北が、武装の差だけでなく内部からの裏切りであると明らかとなった。
この記録で言及された極小生命体とは、現在では「ミクロマン」と呼ばれる、ミクロアース星間連合国家群に由来する生命体と判明している。彼らは我々同様に二派に分かれ内線を繰り広げ、その戦火は地球にも拡大していた。
現代ではこの不審死事件が、剣奴競技場から脱出したマグニフィカスと、ミクロアースの王族の一員で、そのパートナーであるガミードが犯人であることが判明している。彼らは自身を陥れた裏切り者に復讐するために、銀河各地を流浪し傭兵として活躍する一方、デストロン植民地でのレジスタンス活動に援助を行っていた。

(初代破壊大帝 メガトロン)
おわりに
本論では、デストロンが銀河において、どのような統治体制を敷こうとしていたのかを、植民地支配から検討して来た。
第1節では、デストロンの基本的な統治方式を見て来た。その方式は、大まかに (1)闇社会の掌握、(2)親デストロン政権の樹立、 (3) デストロンによる直轄統治、3つに分類が出来る。また、上記3方式が採られる環境には、(4)「多種族社会」への対応、 (5)「非多種族社会」への対応という、2点に分けられる。
(1)の方式が採られる場合は、(4)の場合、すなわちモナカスの様に複雑な「多種族社会」に干渉、または支配する際、時間とコストがかかることが想定される地域に対して適応された。(2)(3)は(5)の場合に適応されることが多い。(2)が採用される場合は、資源は比較的豊富であるが、反乱が頻発して起きる遠方の惑星であり、直轄領にする程のメリットが少ない場合に採用された。そして、本論のメインとなる(3)の方式は、資源の埋蔵量が豊富で、軍事的拠点としても重視される場合である。
第2節では、(3)の方式を検討する上で、惑星メビオンの統治を取り上げた。
デストロン地方統治の責任者にあたる「軍事執政官」は、その役職名が示す様に文武の最高責任者であり、強大な権限を持っていた。例えば、デストロン支持層確立のために、翼賛機関としての評議会、教育機関の設置による、住民の懐柔。その一方で近隣住民同士を相互に監視させる制度、またエネルゴンバーを拠点とした会話・供給資源の管理等、徹底した管理社会を作り上げようとした。また、反乱・暴動が起きた際には容赦ない血の粛清と硬柔合わせた政策が行われ、その権限を握っていたのが軍事執政官であった。
しかし、本論でも取り上げたデストロン秘密警察の記録から推察すると、軍事執政官は公安機関の監視下に置かれており、その政策もメガトロンの意によるところが大きかったと考えられる。
デストロン軍団は、創設者であるメガトロンとその兵士達が体現するように、「破壊」の軍団であり、サイバトロンは永きに渡り彼らと戦って来た。しかし、第1節でも言及したように、メガトロンの性格は複雑であり、その真意は一部の側近間でしか理解していなかった。彼は大戦争が起きる前までは、社会改革の闘士として世間の注目を浴びた。その裏で分裂傾向にあった軍事担当種族「デストロン」を強大な軍団として再編成していた。彼が軍団を欲した理由は、セイバートロンの覇権を手にするためであったことは疑いの余地はない。
では、何のための覇権だったのか?卑賤の出身から出て来たメガトロンは、世の辛酸を知り尽くしていた。一方で議員を中心とした上層階級では絶え間ない奢侈と腐敗が蔓延し、その格差は拡大していたが、有効な対策は打たれないままであった。この状況を解体するための手段として大戦争「グレートウォー」を起こした。彼が望んだ社会は、資源の分配が平等に管理された社会であった。しかし、その「平等」とは、日常生活の細部に渡り綿密に管理された社会において、実現されるものであった。しかし、その「平等」はやがて閉塞に追い込まれる。メガトロンはそれを予測し、敢えて「破壊」という、相反する概念を持ち込み、閉塞に陥った社会を「再生産」するための手段とした。私はこの手段の善悪は問わない。しかし、メガトロンの後継者達(彼と同一人物であるガルバトロンも含む)は、その考えまでは継承せず、デストロンという集団を、文字通り破壊と報復のための手段としてしか認識していなかった。その最大の悲劇は、地球暦2011年のセイバートロン爆破と言える。明確なビジョンを欠いた「破壊」は、全てを灰燼に帰すまで止まることはない。ガルバトロンの銀河各地への無差別攻撃、メガザラックの暗い怨念等は、そのことを示している。
永き大戦争が終わり、平和の時代を迎えたはずの我々の種族は、トランスワープ技術の発展により、時空を超えた領域拡張を迎える中、新たな試練に襲われている。
かつての大戦争は、銀河中の至る所にその爪痕を今なお残している。そのため、我々を「破壊を招く災厄」として唾棄する者達も数多く、異種族間の衝突が頻発して起きている。この事態は領域が拡張している現在、切実な問題となり、宇宙平和連合はこうした状況を憂慮している。戦争を起こした者を問わず、サイバトロン・デストロンは一体の存在であることを再度意識しなければならない。
このことに加えて、我々の種族全体が滅亡の危機に瀕していた。「メガトロン」を僭称する狂人と、その配下のビーコン軍団による母星制圧である。「メガトロン」は、セイバートロンに自らを接続し、全住民のスパークを抜き取った。我々はこの暴挙を阻止すべく、ある者は母星に残り、またある者は当所のない旅に出た。私グリフは久しく母星を離れ、途中から旅路に加わった者であるが、同行者であったサイクロナスの背信、久しく活動を聞かなかったクインテッサ星人の陰謀をはじめ、様々な困難により、その旅も暗礁に乗り上げかけた。これらの試練を乗り越えた後、セイバートロンは無機・有機体が融合した新たな世界に生まれ変わった。
異種族との交流と新たなセイバートロンの構築。これらの課題に対して、過去の資料を発掘・記録し、我々の向かうべき未来を分析しなければならない。

(英雄・オプティマスプライマルの姿の一つ)
「メガトロン」の狂気に抗った英雄は言う、「未来の種は過去の中に埋まっている」と。
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(なお、投稿者はアニメ・アメコミ・おもちゃなどの世界観からいろいろ取り混ぜたといっておりますので、そのような空想の産物としてご理解の上コメントをどうぞ。
「このアメコミと違う」「アニメと違う」とかいう空気を読まないコメントなどは勘弁してくださいね。
ここはディベートの場ではないので。)
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